WTOとはWorld Trade Organization、すなわち世界貿易機関のことです。世界の貿易が適切にスムーズに行われ、また拡大するように取り組んでいます。
国際貿易に関する協定GATTを発展させる形で設立
WTOは、国際貿易に関する協定のGATTを発展させる形で、1995年に設立されました。GATT時代と比べるとより多くの活動をWTOが行えるようになりました。
先進国間のみならず、新興国や発展途上国も含めて貿易が活発化する中、WTOが適正な貿易を推進するために果たすべき役割は大きくなっているといえます。
GATTの時代よりもWTOに参加している国は多くあることからも、WTOが国際的に広く認知されている機関であることがわかります。そのため、WTOが定めたルールは国際貿易におけるガイドラインとして活用されることが多くあります。
貿易摩擦の解消に貢献
WTOは、貿易摩擦の解消に貢献しています。貿易が活発化することは、各国が効率よく高品質の製品を生産できるものを輸出し、他国のほうが高品質あるいは低価格で生産できるものを輸入することで、世界経済全体が効率化できる点でよいといえます。しかし、ある産業において特定の国の競争力が強すぎると、輸出相手国で当該産業が衰退し、雇用が失われるなどの問題が生じることがあります。
例えば、日本がアメリカ合衆国に積極的に高品質な自動車を輸出した結果、アメリカの自動車企業の収益が圧迫される問題が発生したことがあります。こうした貿易摩擦は、時として国どうしの争いの原因となります。WTOは貿易摩擦が大きなトラブルに発展し内容に尽力しています。
不適切な輸出制限などを規制
WTOは、不適切な輸出制限を規制する役割も果たしています。特定の国や地域でのみ産出される貴重な資源を外交カードとして使用するため、過度な輸出制限を実施する国が出てくる場合があります。自国産業の保護のために輸出入を規制することはある程度認められますが、自国の主張を通すことを主目的として過度に輸出を規制するなどの取り組みは、世界経済全体に悪影響を及ぼしかねないため、望ましくありません。
具体例としては、中国がレアアースの輸出を規制したケースが挙げられます。こうしたケースでは、貿易相手国が規制を行った国をWTOに提訴するなどして問題の解決が図られることがあります。